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#03 染井社長に聞く
KALTECH ストーリーズ
デバイス開発の現場で、色んな経験を積んで成果を出してきた染井社長にも、
とうとうマネージメントをする年齢に突入します。
ここで今までに味合うことのなかった、苦悩の日々が訪れます。

新規事業の開発へ

──
テレビチューナーの仕事の時は完全に光触媒を忘れてたんですよね。
染井:
忘れてました。あれだけ光触媒といってたのに(笑)。だって20年やった仕事はおもしろいです。自分で作ったものが売れるんですよ。それはめちゃくちゃ醍醐味でしたね。ほんとにもう世界中走りまわされて。ところが、シャープの中でもうそろそろ既存事業も厳しいから、何か新しい事業せなあかんなとなり、「BtoB事業推進センターを作るから、そこでお前やれ」という話になりました。僕も40代後半になってきてマネージメントをということで異動です。
──
そこで光触媒を思い出しんたんですか?
染井:
「何やってもええで」と言われて、思い出したんですよ。「あ、光触媒や」と思って。たまたまその時、光触媒を開発している会社の社長と、シャープの役員が知り合いで、出会いがあったんですよ。僕が高専の頃の光触媒は商品化できる材料はなかったんですが、20年を経て材料がすごく良くなってたんです。これはなんか面白いものを作れるなと確信を持って。ちゃんとグループを作って、光触媒をもう一回やりはじめました。
企画の責任者だったので、装置を作って社内の色んな部署に持っていくんですが、どこ行っても効果が出ないんです。全然、僕らが考えていた目標と効果が得られませんと。この当時はまだ光触媒に対しては冷静に見てたんで、「ハズレなんだったら僕の範疇でやめちゃおう」と思って光触媒はやめたんです。
──
どれくらい離れたんですか?
染井:
5年ほど休憩があるんです。でも、辞めた理由でもっとも大きかったのは、僕もよく言ってますけど、効果効能がよくわからへんなと。光触媒の50年の歴史の中でなかなか日の目を浴びなかったのは、まさにその理由なんです。それに直面したんですね。「光触媒はやっぱりダメやなあ」ということで、でやめたんですね。

もう一度光触媒へ

──
でももう一回光触媒のチャンスが巡ってきたんですね。
染井:
一旦、光触媒の研究を止めたんですが、僕がシャープを辞めるちょうど3年ぐらい前に、やっと、良い材料ができたでという話がある会社から飛び込んできました。で、評価したらめちゃくちゃ良くなってたんですよ。触媒の結晶化技術というんですが、これが確立されたものが出てきたんですね。これは面白いとなって今度は社外にも渉外に行ってですね、非常に効果があるということで、再び事業化に向けて動き出しました。

ですけども、そこにまた大きな試練があって、これはシャープの組織の話です。僕はデバイス(装置)の事業部にいたんです。シャープはデバイスと商品の二つの事業部に分かれていて、デバイス側の人は商品開発をやったらダメやということで、商品が作れなかったんです。商品が作りたいのに、作れないんです。
──
組織の壁というやつですね。
染井:
じゃどうするか。簡単ですよね。商品事業部の人に光触媒を載せてもらおうと。色々動くんだけど、すぐに潰されるんです。誰も振り向かない。トップマネージメント層は、「おもろいんちゃうか」となるんだけども、これを下ろしていくと、全部つぶされる。商品企画と営業に潰される。結構、営業って強いんですよ。シャープって。「それやったら自分でやろう」と思ったのが、2017年の秋口です。

そして退職を決意

──
辞める最終的なきっかけは何だったんですか?
染井:
当時のBtoB事業部には100人ほどいたんです。その後、シャープの経営が傾いて、鴻海(精密工業)が入ってきて、「全部止めろ」って言われました。「わけのわからんことやめとけ」って言って組織を潰された。100人が分散してしまいました。それが退職の一番のトリガーですね。
僕は、もともと若い頃から50歳になったら独立しようと思ってたんで、潮時かなと。
──
いつかは辞めようとは思ってたんですね。
染井:
仲間たちと一緒に飲みに行ったら、「俺は50歳で辞めるで」と。「染井さん何するんですか?」と聞かれても「今ちょっと言われへんけど」と言ってたので。そういう野心はずっとありました。
──
でも光触媒とは明確ではなかったんですよね。
染井:
全然!それまで辞めると言ってたけど具体的なものは何もなく、これやっていうのはなかった。50歳になったら辞める、遅くとも55歳までに辞めて独立すると40代の時にいってました。結局辞めたのは56歳。一年ずれたけど、まあまあ有言実行に近い形になりました。光触媒で起業しよう、辞めようと思ったのは、多分辞める2年くらい前ですよ。ようやく、2018年の3月にやめることになりました。
ついに長年勤めたシャープを退職した染井社長。
光触媒の技術を使った商品開発へと乗り出します。ところが、立ち上げた途端、
肝心な光触媒にある欠点が発覚します。最終回はそのお話です。


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